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リレーINTERVIEW

ビジネスシーンでのEメール!特別インタビュー第18回 小山内 秀友氏

浅香昌宏さんからのご紹介で、小山内秀友さんにお話を伺いました。
小山内さんは、世界約100ヶ国に支部を持つ、世界最大のボディガード組織、IBA(国際ボディガード協会)日本支部の代表で、株式会社CCTTでセキュリティコンサルティングや、ボディガードサービス、ボディガードの教育訓練などをされています。
ボディガードと言うと映画やドラマで見るような、著名人を体を張って守る屈強な男たちといったイメージがありますが、実際のボディガードの仕事はどうなのでしょう?
日本は安全な国、と言われながらも、通り魔や無差別殺傷などが増えています。私たちにもわかりやすい身近なセキュリティや防犯についてもいろいろと伺いました。

IBAについて教えてください。

IBA(国際ボディガード協会)は、現在アイルランドに本部を置き、世界約100ヶ国で活動するNGO(非政府組織)です。主に世界中の国々で、軍隊や警察、警備会社等へのボディガード教育訓練などを行い、国境を越えたボディガードサービスの提供も行っています。有名人や要人が国をまたいで移動する際は、IBAの各国支部で連携してボディガード業務を行ったりしています。
現在、日本及びグレートチャイナ(中国・香港・マカオ・台湾)の窓口は私が行っております。日本国内では株式会社CCTTとして、ボディガードの教育指導、セキュリティコンサルティング等を行っています。

ボディガードの教育とはどんなことをするのでしょう?

ボディガードの業務は多岐に渡っていて、一般に考えられているような、VIPのそばでエスコートをする仕事だけではありません。このプロテクティブエスコートは警護業務全体の10%位にしか過ぎません。他にも、車両運転技術、情報収集技術、盗聴器や盗撮機等で監視されないための技術、爆発物の知識とその対処、最悪敵と遭遇した時の緊急対応、救急法、その他にもイベントでのセキュリティ構築、群集管理、テロ対策なども身に付けておかなくてはなりません。
また、私たちの業務はあくまでもサービス業なので、ビジネスマナーやテーブルマナーなど、お客様を不快にさせないような配慮も必要です。現在、CCTTが行っておりますボディガード訓練は、IBAの認定訓練ですので、訓練を修了しますとIBAの国際会員になるライセンスが与えられます。ただし、実際に訓練を修了して、優秀な成績と認められるのは50人に1人くらいの厳しい世界です。

ボディガードに必要な素質はありますか?

ございます。どんなにやる気のある方でも、やはり向いていないという方はいます。
最も重要なのは“コモンセンス”、つまり常識です。私たちが接するのは、社会的地位の高い要人であることが多いため、社会性や一般常識が欠けているのはボディガードとして致命的です。また、この"常識"というのは、実は不審者や不審物等を見つける時に、非常に重要な要素となります。私たちが不審者等を見つける際の判断の基本は、“ノーマル”か“アブノーマル”か、で始まります。何かがモノが置かれている時に、それがそこにある理由を考え、その状況が“ノーマル”なことなのか、“アブノーマル”なことなのかをまず考えます。普通とは違う状況を見つけるということが基本なのです。つまり「普通」を知らないと、普通ではない“アブノーマル”な状況がわからないのです。誰かが座ってこちらを見ている時に、いち早くその状況に気付き、なぜそこに座っているのか、なぜこちらを見ているのかなどを考えます。そして、それがノーマルかアブノーマルかを考えます。
ボディガードには、五感を使った“観察能力”も必要となります。警備業務を時間的にさかのぼると、最終目標は警備対象者が生きて、無事警備解除となることです。無事に警備解除するためには、例えば最悪敵と遭遇してしまった際、その場から警備対象者を逃がすことが必要です。しかし、そのさらに前には、敵に気付く、不審なサインの発生に気付くことが必要となります。
実際には、敵が目の前に現れたらその時点でほぼ警備は失敗です。これは必ずといって良いほど、その時は敵の方が有利だからです。ですから相手が攻撃をしかけてくる前の段階“不審なサイン”に気付かないといけません。この、不審なサインに気付く、危険を察知して未然に防ぐ能力に必要なのが“観察能力”なのです。一般の方はボディガードというと、映画で観るような、危険な時に体を張って守ってくれる人と思っていますが、そのような仕事をしていたら、私たちボディガードは命がいくつあっても足りません。私たちの仕事は、決して警備対象者と敵との間に飛び出して弾よけになる仕事ではなく、その人に起こりうる危険を事前に察知し、その人に危険が起こらないようにする仕事なのです。

どうすれば危険を察知できるのでしょう?

私たちの仕事は、警備対象者に関する情報を調べて、その方に起こりうる危険を考え、その方が危険に遭遇しないようコーディネイトすることです。私たちの周りには、様々な危険や脅威がありますが、実は、その内の9割は未然に防ぐことができると言われています。本当に防ぎきれない危険というのは、全体の1割程度です。ボディガードの仕事は、9割の危険を未然に防ぎ、最悪、起きてしまった1割の危険から警備対象者を逃がすことです。
では、どのように9割の危険を未然に防ぐかというと、まずは起こりうる危険を「予測」することです。そして、その「予測」を基に、その危険が起きないように、念のために何かしらの対策、つまり「準備」を行います。この「予測」と「準備」がしっかり行われていれば、9割の危険は未然に防ぐことが出来ます。私たちボディガードの仕事は、人の命を守ることです。ちょっとしたミスなどで、「失敗してしまった」では済まない仕事なのです。

正しい防犯とはどのようなものですか?

ボディガードが行うセキュリティも、一般の方が行うべきセキュリティも、基本は一緒です。
CCTTでは、セキュリティコンサルティングの一環として、学校などで一般の方を対象とした防犯講習等を行ったりもしています。
現在日本で行われている防犯教育指導の多くは、“犯罪者が現れたらどうするか?”“刃物を持った人が学校に入ってきたらどのように対応するか?”などを中心に行われています。そのような状況で助かる方法は、基本的にありません。犯罪を行う際は、必ず相手(犯罪者)の方が有利です。これは、相手がそれなりの準備をしてから行動を起こすことが多いためです。実際に犯罪行為が行われはじめてから、または犯罪者と対面してからの事後対策セキュリティではほとんど助かりません。ボディガードであっても一般の方であっても、大切なことは、危険が起こらないように事前に何かしらの行動を起こしておくことです。この、「念のための事前行動」こそがセキュリティ(防犯)なのです。
私たちIBAが行うボディガードサービスも、危険が起きてから警備対象者を守り始めるのではなく、危険を未然に防ぐための活動が中心となっています。

不審者から身を守るにはどうしたらよいですか?

世の中に不審者はたくさんいます。日本では「不審者=犯罪者」という考え方をしている方が多いですが、実はそうではありません。
私たちボディガードは、“不審者”“犯意者”“犯罪者”と、3つのカテゴリーに分けて考えています。街中で、その人のとっている行動の原因や理由がよくわからない人、これは不審者です。このような人は街中にたくさんいます。しかし、この“不審者”が犯罪を起こすケースは稀です。実際に犯罪を起こすのは、“犯意者”つまり、「犯罪をやろうという意志を持つ人」です。この犯意者が行動を起こし、その行為が法律上不正なものであれば、この人は“犯罪者”となるわけです。
ボディガードの仕事も一般の方の防犯も、まずは“不審”や“犯意者”の存在に気付くことから始まります。そのためには、皆さんがもっともっと周囲を見る(観察する)必要があります。日本人は、自分を取り巻く環境が基本的に平和であると考えていますので、周囲を見る習慣がありません。ですから、近づいてくる犯意者に気付かず、その人が刃物を取り出し、自分の目の前に来るまで、または自分が刺されるまでその存在を意識しません。ですから対応が遅れて被害が甚大なものになってしまうのです。目の前に犯意者や犯罪者が現れてからでは遅いのです。犯意者が近くに来る前にその存在に気付き、念のため相手から離れる等の事前行動が必要なのです。今の日本人に必要な防犯能力は戦うことではなく、観察し、察知する能力です。


IBA JAPAN

小山内秀友さん
大学生の頃アメリカで、怪我をした人に何もできなかったことに自分自身ショックを受け、帰国後に危機管理や防犯、防災について専門的に勉強するためにサークルを設立。ボランティア団体として防犯教育なども行うが、凶悪な事件が多発する社会背景もあって問い合わせや依頼が増えたため、再度渡米、その後イギリス、フランス、イスラエルで学んだ後日本に戻り正式に会社として警備業務を始める。
IBAの日本代表の他に、グレートチャイナ(中国・台湾・香港・マカオ)の代表も務める。
現在はセキュリティに関する書籍出版の準備を進めている。



第17回特別インタビュー 浅香昌宏氏

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