TOP > 特別リレーインタビュー > リレーインタビュー第16回

リレーINTERVIEW

ビジネスシーンでのEメール!特別インタビュー第16回 吉祥寺 怪人 氏

イラストレーターのモリナガ・ヨウさんからのご紹介で、吉祥寺怪人(きっしょうじ かいと)さんにお話を伺いました。
吉祥寺さんの本業は書籍の編集ということですが、押井守監督の映画『立喰師列伝』に「月見の銀二」役で出演し独特の存在感を発揮されたので、役者としてご存知の方も多いのではないでしょうか。(08/7/10)

役者さんではないのですね?

たまたま一昨年、押井さんの関係者を集めて作られた映画『立喰師列伝』、さらに昨年『真・女立喰師列伝』に“出されて”しまったので、役者だと誤解されているみたいですが、いまの本業は編集者です。出演者のなかで僕だけ素人だったので、観た人からも「この人誰?」って言われたらしいです。
『立喰師列伝』は映画といっても全部スチール、つまりデジカメで撮った写真をパタパタアニメの要領で動かしているので、「演技」というよりは「ポーズ」ですね。『真・女立喰師列伝』では台詞もなく、ただ縁日で食べ歩くだけでしたから。押井さんに「演技開眼しただろう!?」って言われましたけど、するわけないですよ!(笑)

どんな本の編集をされるんでしょう?

ジャンルが特化していまして、模型と軍事とアニメーションと漫画がおもな範囲です(笑)。例えば、前回登場のモリナガ・ヨウさんと一緒に連載していた模型雑誌の記事、『35分の1スケールの迷宮物語』を一冊にまとめたり、いまは弥生時代からの日本の甲冑を図解した中西立太さんの『日本甲冑史』や、某有名ロボット物書籍の編集を進めています。
『宮崎駿の雑想ノート』などの編集でご一緒した宮崎駿さんとはおつきあいが長くて、吉祥寺在住で年中黒ずくめの格好をしている僕の姿を見た宮崎さんが面白がって「吉祥寺の怪人」と呼びはじめたので、じゃあ芸名にしちゃおうと思い吉祥寺怪人と名乗らせていただくようになりました。宮崎さんも押井さんも軍事ネタが大好きなのにスタジオでは話相手がいないので、僕のようなただうなずくだけの人間でも重宝がられているのだと思います(笑)。

編集の面白さはどんなところでしょう?

デザインや手触りなど、考えたことが少しずつかたちになっていくところが面白いですね。僕はとことんまでこだわるのが好きなんです。誰も気がつかないようなところに工夫をしたり、遊びを入れたり。基本はあとで自分が手に取ったときに嬉しくなるようなもの、ずっと持っていたいと思えるものを作ること……でしょうか?
だから一冊作るのに時間がかかってしまいます。連載記事の単行本は連載が始まったときから携わるのでどうしても長くなるのですが、最後に「本」で完結すること、それが醍醐味ですね。そして出版後何年か経って重版がかかって、手直しができればなお嬉しいです。

では、苦労するのはどんなことでしょう?

最近はデジタル化が進んで、編集者の仕事が増えましたね。むかしは手書きの原稿を手直しするだけで写植があがってきて、それをチェックして戻して……というのんびりしたやり方だったんですが、ワープロになった頃から自分たちでやるようになりました。予算がないとレイアウトの修正やデジタルデータの色味の調整まで自分で直すことになるし、どんどんやることが増えていくんですね。でも僕はそのほうが自分で色々といじれるので面白いんですが(苦笑)。
それまでは分業で、印刷会社や対応してくれるオペレータがいたんですが、いまは原画をスキャナで撮ったまま校正刷りが出てきて、原画に合わせて直してくれと言ってもわからないようなんです。自分の目にどう映っているかがわからないというか、色感がないというか、微妙な違いが理解できないようで……。
いまはいいスキャナがあるからいいじゃないかと言われますが、そうじゃないんですよね。原画通りにするには補正をしなければいけないんです。それには人の目で合わせていくしかないんですが、そこが伝わらないのが悩みの種です。どの大手の印刷会社でも同様で、とくに絵の具で描いたイラストの再現は難しい。何度も直しを入れても微妙なニュアンスをなかなか理解してくれなくて。三稿、四稿と出してもらうのは頑固な編集者のわがままと取られるかもしれませんが、そこでこちらがあっさりと折れるわけにはいかないんです。
画像に関してはデジタルだから正しいとみんな思い込み過ぎですね。スキャナは原画に密着しますので紙の目を拾っちゃうんですよ。「精度が高い証拠だ」とオペレータは胸を張りたいのでしょうが、冗談じゃない。以前のようにカメラで撮るということはその間の空気も写しているということで、微妙な質感が生まれるはずなんです。その感覚がわからないんですね。いま、手描きの原稿を出版物にすることの難しさを痛感しています。

この仕事をしていなかったら何をしていましたか?

何もしていなかったでしょう(笑)。引きこもり続けていたか、のたれ死んでいたかもしれません。だから、なにかしらもの作りに携わっていたと思います。もの作りが好きなんですね。自分にはそれしかないと思っていましたから……。中学の頃からこういう業界に入るんだと思い込んでいて、絶対に役に立つと思って高校もデザインの学校に行きました。もの作りの基本は何にでも応用できますから。ですからそのほかのことを考えずに、がむしゃらにやってきたというのが事実かもしれませんね。
「目指すことがなかなか実現できない」なんて言う人は思い込みが足りないんだと思います。強烈に思い込むことです。強固な意思を持った人は自然にその世界に近づこうとしますよね。僕らの子供時代はネットなんかありませんから、とにかく情報を辿っていくしかなかった。そうすると自然とその世界に近づいていくわけです。自分を含め、周りはそういう人たちが多いので、最近の若いみなさんは甘いな?って感じます。

フリーランスで仕事をするようになっていかがですか?

20年以上この仕事をやっているとそれなりに人脈ができるし、自動的にベテランの域になっちゃったのでいろんな仕事をいただけるようになりました。ただ、これまではなんでも自分一人でやるのが性分だったのですが、さすがに厳しい状況になってきました。事務所を設けてアシスタントを置いたりしないと回らなくなってきているのでいまが岐路かなぁと思っています。それとこの何ヶ月かで紙の値段が二割上がって原価率が変わったり、しかも印刷技術で納得がいかないこともあるし、暗い話題の出版界はこれからどうなるのか少し不安にもなります。
でも、だからこそいい加減な仕事はできません。ずいぶん前に、少年雑誌の口絵や模型のボックスアートなどで活躍されている高荷義之先生に、「世の中“バカ三千人”と言って、何を出しても必ず買ってくれるコアな層がいるんだよ」と言われたんですが、その通りだと思って肝に銘じています。それは適当なものを大量に売るということではなく、どんなに高くてもこだわって作ったものはだいたい三千人くらいに伝わって、確実に買ってくれるということです。逆に言うとその人達を裏切るものは作れません。手を抜いたことが見抜かれてしまうからです。僕はこれからもその気持ちを忘れず仕事をしていこうと思っています。


吉祥寺 怪人氏吉祥寺 怪人さん
編集者。
玩具デザイナー、アニメ企画、模型雑誌編集などを経て、フリーランスの編集者に。本文中以外に氏が編集に携わった書籍に、『押井守・映像機械論[メカフィリア]』(押井守、竹内敦志共著)、『武器と爆薬』(小林源文著)、『タミヤの動く戦車プラモデル大全』(松井康真著)などがある。
また最近では、ジブリ美術館で開催中の「小さなルーヴル美術館」展のパンフレット編集、映画『スカイ・クロラ』では小道具の資料協力で参加。



第17回特別インタビュー 浅香昌宏氏
第15回特別インタビュー モリナガ・ヨウ氏

バックナンバー一覧へ
前のページに戻る このページのトップへ
  • メルマガノウハウインタビュー
おすすめ記事

[インタビュー] 四季株式会社様 メールアドレス会員数は、他の施策と組み合わせることで、増やすことができる。

[インタビュー] トライコーン株式会社 ソーシャル一括投稿システム「コトシロ」より多くのメディアに情報を発信することで、情報の露出効果が上がります。

[インタビュー] 株式会社監査と分析様 メルマガの企画・編集は、PDCAサイクルを回すこと!

[インタビュー] 株式会社亀屋万年堂様 クーポンの利用率は9%まで上がる!

[インタビュー] 株式会社極楽湯様 クーポンの内容によってメールのクリック率は大きく違う!

[メルマガ担当者] メール配信結果の指標

[メルマガ担当者] PDCAを回せない10の理由と対策


人気コンテンツランキング

メールの署名(シグネチャ)

Coltaオリジナル署名集。

Thunderbird(サンダーバード)の便利なプラグイン・アドオン

サンダーバードの便利なアドオンを厳選して紹介。

ビジネスメールのテンプレート

ビジネスで使いたいメールのサンプルをご紹介します。
最近のColta日記

3/14 [HTMLメール]「コルミのFacebookページ運用メモ 第1回」

2/28 [HTMLメール]「HTMLメール、フォント(書体)の指定はできるコル?」

11/01 [HTMLメール]「文章(テキスト)の流し込みも要チェックこる。」

10/17 [HTMLメール]「<table>にはいろいろリセットが必要なんですっ。」

10/04[HTMLメール]「<img>にはborder="0"を。」

9/05 [HTMLメール]「background-color/imageを検証してみよう!」

8/30 [HTMLメール]「HTMLメールにCSSのheightは使えない?!」

Colta日記一覧はこちら>>

メール配信ASPのトライコーン株式会社 メール配信代行サービス「アイモス」 LMA マーケティングオートメーションはカンタンに! LOOPASS(ルーパス)が広げるビジネスの可能性 代理店様向け キャンペーン運営サービス「IMOSSS(アイモス)」 メールを依頼したい!”PDCA”を回したい方へ PDCAつき文章作成サービス「アイモス」 無料試用版もあります。Salesforceメールアプリ導入実績No.1 営業効率を最大限化させるPardot運用支援 インターネットサービスに関わる担当者のための情報を紹介するブログ「Web Persons」 クーポン付きメルマガ登録サイト「メールホッパー!」 メールマーケティング辞典 WEBマーケティング用顧客管理システム「クライゼル/KREISEL」
ソーシャルブックマーク